七坐灰人
オープニング
ナコルルの登場
五人目
ナコルルの導き(対朧衆団体戦前)
ナコルルの導き・十一人目(対朧衆団体戦後)
ボス戦
エンディング
![]()
この男、離天京にある色町『是衒街』を仕切る侠客集団の裏頭である。
呼び出された野原に行くと、ならず者達の群れが男を囲んだ。
多勢と云う状況に勝利を確信し、薄笑いを浮かべるならず者達。
冷ややかな灰人の瞳が、囲んだならず者達を見ている。デジャビュが灰人を襲う。
……幼少の記憶
……異人……女郎
……其の間に生まれし子
……どっちつかず……灰色
……ネズミ……嫌悪
……嫌悪……嫌悪
……猫に弄られる鼠
……流れる血
……赤……赤……赤……
灰人の中で心の糸がキレた。
同時に、凄まじい速さの逆手居合いが連斬されてゆく。
残ったのは、ならず者の頭が一人。血の海の中、息を切らす灰人は、懐から取り出した秘薬を噛んだ。
すると乱れた呼吸が、ウソのように戻っていく。灰人の表情が恍惚へと変わる。最後の一人に向かって、
狂ったような叩き付ける居合いが繰り出された。
赤い雨が降る。舞い散る血飛沫に、再びデジャビュが灰人を襲う。
……至高の赤……矛盾
……最近見た赤……白い肌の男
……己を見下した真紅の瞳……
「驕るな!」
ギラギラと光るその目には、もはや目の前の屍の姿など映ってはいなかった。
![]()
ナコルル「お願い……。助けて、暗黒の闇が……。黒い力が……。破壊が……来るの……。
どうか……。あなたの……力で……。邪悪な力を……止めて……下さい。覇業三刃衆を……」
![]()
伊賀忍者「……御屋形様」
半蔵「うむ」
伊賀忍者「三刃衆が根城、やはりこの真上。しかるに、影多き事ゆえ進入の際、てこずるやも知れませぬ」
半蔵「案ずるな、こちらもまた影!! で、大師様の方は?」
伊賀忍者「三刃のうち二刃の姿以外見えませぬ」
半蔵「うむ。では、見えぬ一刃と大師様の居場所を探れ」
伊賀忍者「ハッ!! ……御屋形様!!」
半蔵「ここはもうよい。行け!!」
伊賀忍者「ハッ!!」
灰人「…………。オイッ! オメエ、ここの兵隊か?」
半蔵「この間合いまで気配を悟らせんとは」
灰人「何寝言イッテんだよ、オメエはよ」
半蔵「お主ただ者ではないな」
灰人「何なんだよ。あの赤目ヤロウの下っ端かって、聞いてんだよ」
半蔵「……お主に恨みはないが、死んでもらう」
灰人「クックック。何か良く分かんねえが、面白くなってきたじゃねえか、ナァ!!」
![]()
ナコルル「私の話を聞いて。私の名はナコルル。光の巫女。あなたにお願いがあるの。
そんな顔しないで。大事なことなんです。
今、大変な事が起こっているの。邪悪な意志を引き継ぐ覇業三刃衆によって……。
20年前……。邪悪な意志の元となった人物が現れたの。名前は朧。
その人物は、今の世の中を混乱させて、強い者だけが生き残る国を創ろうとしているわ。
その時に朧は、邪魔になる私たち光の巫女を恐れて封印したの。お願い。私はもうこれ以上うごけないから。
でも、もう一人の光の巫女。彼女ならきっとあなたの助けになるはずよ。彼女はこの先で永い眠りについているわ。
お願い、あの娘を助けてあげて。名前はリムルル。私の妹なの」
朧衆「光の巫女を助けに来ただと。己ごときの力量で我々を倒しに来たとは笑止!返り討ちにしてくれるわ。覚悟!」
![]()
ナコルル「ありがとう。もうすぐこのリムルルも目を覚ますわ。貴方が傷つき、先の道へ進めなくなった時、リムルルがあなたの助けになると思うの。
ありがとう……。どうか……邪悪な意志を……滅ぼして……」
サヤ「…………。あら、お兄さん。そんなに見つめられたら、いくら私でもテレちゃうわ」
灰人「…………」
サヤ「でも気持ちは分かるわ。イイ女ですもの、私って」
灰人「…………」
『ブチッ!!』
サヤ「でもあなたみたいな人、好みじゃないのよ。ゴメンネ」
灰人「…………」
『ブチッブチッ!!』
サヤ「なんかさっきから、あなたの頭で変な音がしてるんだけど……?」
灰人「ナンデインダヨ」
サヤ「なんでっていわれてもぉ」
灰人「テメエみたいなのがいるから、イラツクんだよ」
サヤ「何? ……もしかして私、キラワレテルの?」
灰人「ムカツクンダヨ、テメエミタイナノワ」
サヤ「……? あら? ……良く見たらあなた、この国の人っぽくないわね……」
『ブチッブチッブチッ!!!!!』
サヤ「ふ〜ん。あなたの過去は知らないけど、人を見た目で判断するなんて。はやらないわよ、今時」
灰人「驕るな!!」
![]()
灰人「やっと見つけたぜ。あんまり手間取らせんなよ」
刀馬「貴様、何者だ?」
灰人「何いってんだ、オメエ。この前見ただろ」
刀馬「見た?」
灰人「オレの事見てただろ」
刀馬「失せろ。死にたくなければ、己の立場をわきまえろ」
灰人「驕るな」
刀馬「消えろ。生きていたいのなら」
『ブチッ!!』
灰人「オメエよ、濁ってんだよ。濁った色はイラツクんだよ!!」
刀馬「ネズミに言葉は通じない様だな」
『ブチッ!! ブチッ!! ブチッ!! ブチッ!!』
灰人「ダマレ!! ……テメエは、ダマッテ狩られろ」
![]()
(イメージシーン。幼い日の灰人が立つ前に、母親らしき遊女)
母「ねえ……どの色が好き?」
子供の灰人「……赤」
母「青い色じゃだめ?」
子供の灰人「……赤がいい」
母「じゃあ、紫色は?」
子供の灰人「濁った色はキライだ……。夕暮れの色も、桜の色も、夏の海の色も……濁ってるからキライだ!!」
母「……困った子ね……」
子供の灰人「赤色がいい、赤じゃなきゃ嫌だ」
(悪意を示す色取り取りの仮面の群れの中蹲る幼い灰人)
子供A「おまえ、女郎の子だろう」
子供B「おまえの父ちゃん、何処だよ」
子供C「イヒヒッ、異人の子」
子供A「違うぜ、ネズミの子だぜ」
子供C「こいつ、血まで灰色だぜ、きっと」
子供の灰人「……赤だ……ボクの血は……赤色だ……」
(草原に立ち、手首に巻いた血の色のリストバンドを見つめる灰人)
灰人「……俺の血は……。俺の血は赤だ!!」
(俯き咳き込む灰人。吐血する)
灰人「……グッ……」
『ゴフッ!!!!』
(胸を血に染める灰人)
灰人「……こいつのせいか……。百慈のヤロウ……。チッ、イラツクゼッ……まったくよ。………」![]()
(草原に倒れこむ灰人の表情)
謎の老人
「おまえさんはギラギラしすぎとる。まるで抜き身の刃、そのものじゃ」
灰人「………」
謎の老人「抜き身の刃は、諸刃の剣じゃ」
灰人「………」
謎の老人「聞け!! 海を渡れ。ここからはるか東の方角に『自由を司る国』がある」
灰人「………」
謎の老人「今はまだ、絶望の時ではない」
灰人「……自由……」
(倒れ込んでいる灰人の遠景)
灰人「……『自由の国』だと……」
『ゴフッ……ゴフッ!』
灰人「………。クッ……。クッククククハハハハ。……なあ、じいさんよ……行けんのかよ……こんなオレでも……。
……行けるんならよぅ……」
(草原の向こうの崖から見える、青空と海)
灰人「行ってみてえなぁ……」
百慈(ももじ)は設定にのみ存在するキャラクターで、『甦りし蒼紅の刃公式ガイドブック』P139(屍媚党の設定資料オマケ)で灰人に秘薬を売っている薬師、とある。
参照。この「謎の老人」は陀流磨であることがわかる。