鈴姫閃翔絵巻 サムライスピリッツ異伝
感想というか突っ込みというか解説というか、なページ
第六章 第七章 第八章 第九章 第十章
総括
作者プロフィール
第一章 月夜の襲撃者
さて、この第一章のストーリーで、バスタードソードを打ち直した鍛冶屋が鈴姫の手を見てるんですが、
公式イラストで鈴姫は、ほんの一部分だけの洋装として白の手袋をしてますね。ついでに襦袢?にもレースついてるし。
どこ製なんだろう? 鈴姫の好みに合わせて作らせたとかだろーか。
もしかして、この物語の後手袋をつけて手を隠すようになった、とかかな?と思いつきました。
まぁ、プレイモア公認の小説ではあってもイコール公式設定ではないわけですけど。
第二章 ないしょの幸せ
鈴姫のお目付け役・菅又刃兵衛初登場。大声で城を揺るがし、古稀(七十歳)超えなのに彼より若いであろう家臣たちがついてこれないほど駆け巡る……。
思うに閃サムって、設定”だけ”なら破天荒でぶっ飛んだキャラわりといますよね。
OPで宮殿の柱壊しまくり、EDではシャチに乗っかって大陸に帰る王虎やら(初代からいるけどね)、鯨一本釣りが特技で、部下に船壊れるからと
止められるガロスやら。皆ゲーム画面じゃこの上なく地味ですけど、ってそれは言わない約束でしたか。ゲホッ
第三章 江戸の町に響く笛の音
鈴姫の好きなものは桜餅、とプロフィールに明記されてまして、『閃翔絵巻』でも桜餅がらみの話は全体の約3分の1あるわけですが(笑)、
桜餅といえば、管理人の在住地でもある西日本で主に食べられているのはもち米を使った「道明寺」、
一方東日本では、文中にも登場した生地に巻かれた「長命寺」。(Manilogさんの2007年の記事より。)
文中の桜餅は、東日本の「長命寺」と思われますが、店主は新作と言ってますけれど……?
検索してみましたところ、ある和菓子屋さんのブログを発見。
桜餅の発祥は「東京」「京都」? 歳時菓 12ヶ月の和菓子・群馬県高崎市の和菓子店「微笑庵」さんのblogより
東京における桜餅の発祥は、
(引用)「享保2年(1717年)初代山本新六が隅田川土手の桜の葉を集め、塩漬けにして桜餅を考案、
向島の名跡長命寺の門前にて売り始めてそれから二百八十年余、隅田堤の桜と共に名物となった。」(ここまで)
なんと。
文中では隅田川と明記こそされていませんが、冒頭鈴姫は桜の木が植えられた川沿いの土手で店主の息子太助に声をかけられてますし、
”今までにない桜餅”とされていますから、この最初の桜餅=長命寺を意識した物語と言えるのではないでしょうか?
もちろん時代は大幅にずれてるので、そのものズバリじゃないんでしょうけどね。
それにしても、作品内におけるそれ以前の江戸の桜餅はどんなんだったんだろ?
おまけ: 楽天市場 京菓子司 笹屋昌園さんの紹介。材料や作り方が詳しいです。
第四章 姫がご機嫌な理由〈ワケ〉
第一章で入浴したと思えば、第四章は着替えで脱ぐパターンですか(笑)
まぁ、萌えキャラのエピソードとしては定番中の定番ですかねー。
さて今回は日本の伝統色の名前が登場します。鈴姫の新品の帯に使われている「藍鉄色(あいてついろ)」と「紅絹色(もみいろ)」。
カラーコードは、藍鉄色が #393f4c と #243250 の2パターンが出てきました。
ついでにこちらは着物見本市から、藍鉄色の帯の実物です。
紅絹色は多分これかな? #bf0805 ちなみに、紅色の別名だそうです。
参考url 日本の伝統色より
このページの題字↑に、藍鉄色と紅絹色を使ってみましたw
鈴姫閃翔絵巻には、各話に鶯神楽(うぐいす かぐら)さんによる萌えイラストが付いてまして、第四章ではセミヌード状態で困ってる鈴姫なのですが
この時新品の帯も手に持っています。そちらを見てもらった方が色もわかりやすいでしょうけど……今スキャナが壊れて放置状態なんですよね。
誰か買ってください(笑)
P.S 実は藍鉄色という色自体は明治にできたものらしいんですが…まぁいっか。
第五章 闘いの決意
今回ちょっと解説長いです。
祭神からして知っている人には一目瞭然でしょうが、鈴姫が詣でたのは、現在の茨城県の鹿島神宮と思われますね。
少なくとも鹿島神宮がモデル。入口の鳥居とか、”要石”らしき小さな石とか。
”要石”は地震を起こす大鯰(江戸時代より以前は竜と考えられていたそうで)の頭を押さえこんでいるもの、
鹿島に地震がないと言われるのはこの要石と祭神・武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)のおかげとされているそうです。
伝奇要素をほぼ取り払った閃サムの世界にあって、
暗黒神アンブロジァを追い払ったシャルロット以来、神様とご対面した奇跡のオンナ、それがヒロイン鈴姫でした(笑)
『梁塵秘抄』には「関より東の軍神(いくさがみ)、鹿島、香取、諏訪の宮」と謡われているそうで、鹿島の神=武甕槌大神は古来名だたる軍神であり、
その名は猛々しく(タケ)・厳しい力(ミカ)・の神霊(ツチ)の意味。また古事記には「建布都神(たけふつのかみ)」または「豊布都神(とよふつのかみ)」
の別名が記され、「フツ」という語は、刀剣によって物がプッツリと切れるさまを表すもので、
名前からしてこの神が刀剣・またそれに象徴される雷を神格化した神であることを示しているそうです。
突然ですが、鈴姫の出身地である天降(あもり)はゲーム画面の”天降・白梟城”の位置確認図によるとどうやら九州の高千穂峰付近に存在しているようで、
調べてみたところ高千穂は天孫降臨の伝説がある場所なのですね。よって天降。
また武甕槌大神は天孫降臨で重要な役割を果たした神で、地上=葦原中国(あしはらのなかつくに)への国譲りの使者となり、
平定にも多大な功績を成しています。何か暗示的ですね。
以上、参考文献は『日本神さま事典』 國学院大學/三橋建、皇學館大學/白山芳太郎 編・著 でした。
ついでに参考url
Wikipedia・タケミカヅチ
常陸国一之宮 鹿島神宮(ホームページ)
武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)
↑ご祭神の紹介
で、小柄なおじいさんの姿をとって現れた武甕槌大神の指南を受ける鈴姫。鈴姫の笛の上に降り立ったおじいさん=タケミカヅチのシーンで
わたくし二人の別なじーさんを連想しました。コミカライズとゲーム本編の違いはありますが、サムスピには過去これをやったじーさんが2キャラ存在します。
『蘇りし蒼紅の刃』のボスキャラの一人朧と、『サムライスピリッツ零』(以降零SPECIALと天下一剣客伝)登場の劉雲飛です。
前者はコミック版『蒼紅の刃』2巻のクライマックス付近で、暗殺者サヤの武器(止燕か飛燕かのどちらか。合体させてたかな?)の上に飛び乗り、
後者はズバリ白羽取りが相手の武器の上に飛び乗ってから蹴り倒す、という形になってます。ホント。零より剣の方がコマンド簡単だから確認してみてね(笑)
さてと、第五章ですがこの回のみ、鶯神楽さんの鈴姫イラストがありません。
いつもイラストが載っているスペースには今さら(ぉぃ)猛千代と刃兵衛の公式イラスト、及び紹介が入っています。
・サムライスピリッツ閃 登場人物目録
猛千代
性別:男/年齢:19歳/ 仕様武器:打ち込み木刀/流派:我流(剣の基礎は覇王丸に教わる)
農家の生まれながら剣士を志す。ある日、密航した船が衝突し沈んでしまうが、浜辺に打ち上げられた彼を
救ってくれたのは鈴姫だった。鈴姫が仇討ちの旅に出たことを知り、その後を追う。
菅又刃兵衛
性別:男/年齢:72歳/仕様武器:55年愛用の槍『金剛』/流派:天降流槍術
鈴姫のお目付け役。普段は盆栽いじりを趣味としているが、おしのびで城から脱走する鈴姫を探すことに日々を追われる。
武術の腕は”西国の生ける武神”と呼ばれるほど。
仕様は多分使用なんじゃないかと思うんですが、原文ママで載せときますw
ついでにラストに登場した宮司さん、一箇所だけ神主という表記になってますが、興味のある人は"宮司と神主の違い"で検索してみてください。私って意地悪い?
それでは閉めの一言をば。
……せっかく鈴姫の巫女装束姿という、萌え的に美味しい絵になる要素があったというのになんともったいない!(笑)
P.S ゲーマガ企画のおまけの中には本編ラフイラストも入っていまして、そこにはタケミカヅチの扮する老人に挑む巫女装束の鈴姫の姿があります。
第六章 伝説の桜餅!?
うーむ、特に突っ込むべきところもこれと言った感想もないですなぁ。困った困った。
ただ、”伝説の桜餅”の取り寄せを養父である天降藩藩主に頼もうかと思いつつも「そんなことで煩わせられない」
と思ったり、店員に八つ当たりしないようにすぐ店を出たりと、鈴姫はわりと気遣いの子だなぁと好感を持ちましたw
姫様と言えど、わがまま放題に育てられているわけではなさそうです。
(まぁお姫様の方が厳しく躾けられるものですかねw)
……書くことがなくって悔しいから、検索で見つけた桜餅アイコンを貼り付けといてやるっ!(笑)
ちなみにタイトル横につけた横笛アイコンはこちらからお借りしました→
第七章 嵐の中
リムルルが登場し、いつものサムスピらしくなりましたね。
ていうか、最初は普通の書き文字だったリムルルの台詞がやたら平仮名になったり、
前回までのようにちょっと分かりづらい文字に読み仮名がついてるのはともかく、
かなり必要ないんじゃないかと思える単語にやたらルビが振ってあったりするのが、微妙〜に気になります(笑)
ゴルバの船(たぶん)がなぜ鈴姫たちの船を砲撃したのかもわかんないし、
何よりクライマックス(リムルルの先導で船が助かった)をひどくあっさり片付けられてちょっと拍子抜けもしましたが、
まぁ鈴姫とリムルルの共演はよしとしましょう。
ちなみに、ゲーマガ企画の鈴姫フィギュアのおまけの中には、鈴姫とリムルルのお風呂ポスターというのが存在します。
(閃ではナコルルは20歳。その年齢に見られたと知ったら、果たして14歳の鈴姫はどう思ったでしょうかw)
第八章 真剣勝負!?
サムライスピリッツ閃でもっともプッシュされていた2人(笑)、鈴姫と猛千代のほのぼのした一幕です。
ひとつ気になったポイントとしては、『閃翔絵巻』の中では鈴姫は笛の演奏が特技・かなりの腕前と位置づけられていますが
サムスピは真サムから見てきて「笛を奏でる女性」がそれなりいるような。
まずは真サム、狂死郎EDに登場のミヅキの憑代・美州鬼(びずき)こと阿国。狂死郎の傍らで笛を奏でています。
続いてアスラ斬魔伝の修羅リムルル。勝利ポーズでオカリナを奏でます。彼女のみ唯一メロディ付き。
さらに、零〜剣サムの真鏡名ミナ。勝利ポーズとチャンプルおやすみなさいで笛を吹いていますが
どんな形状の笛やらさっぱり見えません。沖縄には独自の琉球笛というのがあるらしいんですが。
だいぶ話がズレましたが、要するに鈴姫はサムスピの笛吹く女性たちの系譜の最先端にいるということですね(笑)
唯一、武器としても使うし。
それにしてもさぁ、お姫様の武器なんだから「実父の形見のバスタードソード」とか「鉄芯入り横笛」になんかこう、
高貴な呼び名でもつけてあげてくださいな。技名は結構凝ってるのに(^^;)
P.S 今回の鶯神楽さんのイラストでは、鈴姫はちゃんと髪を結い上げて簪も挿しています。
もしかすると、第4章で出てきたお気に入りの簪かもしれません。
(※見直してみたら真鍮に模様を刻んだだけ、とありましたので、もしかすると家紋付きの方かも?変装に向かないってあったのに^^;)
第九章 危機こそ新たな道なれ
真打ち登場、てな感じの覇王丸さん。ビシッとしめて美味しいところを持っていきますねぇw
この話の中で、鈴姫は欧州人という周囲の人々と異なる容姿ゆえ、町の人々に夜盗団の仲間と疑われてしまいますが、
この鈴姫の異邦人であるという点は第三章でも客寄せに利用されてしまいましたし、やるせないですね。
さてさて、この第九章。
第二章より文末に次回予告の文章が掲載されているのですが、第八章の次回予告はこうなっています。
次回予告
ある日、鈴姫が髪をとかそうと櫛笥(くしげ)を開けると、いちばんのお気に入りだった櫛がなくなっていた。
侍女たちから、最近周りの物がよく無くなるという話を聞いた鈴姫は、解決に乗り出そうとするが―――。
微妙に(?)話が変わってます(^^;)
予告の段階では鈴姫の地元天降での物語であり、どうも”仇(ゴルバ)”が関わっているらしい要素もなかったみたいですね。
他の回の予告はそのとおり実現していますので、そういう意味では非常に貴重かも?(笑)一時の”ジャンプのウソ予告”ばりかと。
要は単なる変更なんでしょうが(上記の話だとどうも城内のみで起きた事件のようなので、犯人は人間じゃなくて何かの動物みたいなオチもありそうだと妄想)。
しかし櫛笥なんて言葉まで使っといて……w
最終章 もう一度会えるまで
今回で、鈴姫閃翔絵巻もいよいよ締めくくり。旅立つ直前の鈴姫を描いています。
刃兵衛、猛千代とゲームにも登場する鈴姫の身近なキャラたちのほか、閃翔絵巻オリジナルキャラクターである
鈴姫の友人お福も再登場。彼女は空気を読める=人の事情を敏感に察する、いい子ですね。
大きな風呂敷でなく風呂敷包みの方がしっくりくるんじゃないかと思うのですが^^;(相変わらず意地が悪い管理人)
豪奢な袴だけですが、鈴姫の養父天降藩藩主も登場します。何せ設定がありませんしねー(笑)
今回の時代物的味付けとしては、猛千代が鈴姫の求めに応じて説明する行李の中の旅道具。検索で探してみました。
矢立
近世の枕(近世の館)
その中に火打ち石など火を熾すための道具が登場しますが、
目から鱗 江戸時代の生活1 火打ち石
個人的なことではありますが、以前出かけた管理人の地元の考古学博物館にて
ボランティアの方が”火打ち石での火のつけ方”指導をされているのに立ち会えました。
上のリンク先、そして作中の猛千代の説明どおりの付け方をしていましたね。
おなじみの”木と木をこすり合わせる(組み木になっているもの)”方法もありましたが、こちらはかなりの力が要りますよ〜(笑)
ラストの鶯神楽さんの鈴姫イラストは、バスタードソードを持ち髪に手をやる普段の姿の鈴姫です。
青空をバックに爽やかな印象ですが、ポイントは”微パンチラ”しているところでしょうか(笑)
第五章ツッコミで書いた鈴姫フィギュアおまけのラフイラスト集の没イラストでは、履物の鼻緒を直しているらしい姿のものもあるのですが
個人的にはこちらでも良かったかと。
【鈴姫閃翔絵巻・総括】
たぶん、閃サム稼動から半年ほど経ってからゲーマガ誌上の「ネオジオフリーク」で短期集中連載された『鈴姫閃翔絵巻』。
桜餅が好き・おしのびのために城を抜け出すのが得意、などの公式プロフィールを生かしながら
怪力でやんちゃで、早とちりなドジっ子属性がありつつも、不正を見逃せないまっすぐな気性を持ち、周囲の人たちへの気遣いも忘れない少女として
鈴姫を描き出しています。
閃サム稼動前からやってれば、なおよかったのにな!
いっそゲーム中のシナリオも、鈴姫ルートはこんな感じで仕上げてもよかったのになぁ!
てか、ゲーマガだけだと読む人も限られるし、閃サムの攻略本なりファンブックなりが出て収録されるとかいう可能性は
限りなく零に近いんだから(ぉ)公式サイトに掲載してくれればよかったのに!
正直その可能性もまた皆無に近かろうと思われますので、せめて当サイトで残しておこうと思います(^^;)
構成としては、第一章・三章・五章・七章・九章は旅立って後の鈴姫を描き(以下、「旅先編」と呼称)
第二章・四章・六章・八章・最終章(十章)は故郷天降(あもり)での鈴姫を描いています。(以下、「天降編」と呼称)
話の順序としましては、
おしのびに出た鈴姫を心配して神経性と思われる胃痛を患っている刃兵衛を、一応は気遣って真面目に稽古事をしようとする鈴姫が描かれている点からして、
天降編の第二章から旅立ちを決意する最終章までが時系列としては一つなぎ
(最終章直前に、公式ストーリーの鈴姫オープニングである”ゴルバの紋をつけた船”のことを知ったと思われます)で、
旅立ち編は旅先のことを描いているところから、時系列で見た最終章は第九章(覇王丸登場の回)になるのではないかと。
つまり、
第二章→四章→六章→八章→最終章(十章)→一章→三章→五章→七章→九章
が、『鈴姫閃翔絵巻』における正式な時系列ではないでしょうか。
さて第九章の後、鈴姫は仇(ゴルバ)の情報を掴めたのでしょうか?
たぶん、情報を掴んで後は閃サムゲーム本編への流れになるのでしょう。
では最後に、ゲーマガより執筆者とイラストレーターの情報を掲載しておきます。
【『鈴姫閃翔絵巻』スタッフ】
シナリオ/各務(カガミ)レイ
1983年生まれ。普段は元気系少女やドタバタした話を書くことが多いが、
重めのシリアスや冒険のないファンタジーも書く新進気鋭の作家。
イラスト/鶯神楽(ウグイスカグラ)
ゲームや漫画のイラストなど、数々の作品を手がける。かわいい女の子の描写には定評がある。
参考URL ゲーマガ鈴姫フィギュアレビュー foo-bar‐bazさま ※お色気フィギュアですので閲覧注意!