閑丸の秘密 その弐


『侍スピリッツ斬紅郎無双剣公式ガイドブック 剣術指南書』(ファミ通編集部責任編集 スタジオベントスタッフ編 (株)アスペクト発行 1996年)

P307の「没キャラの館」開始ページには、主人公・緋雨閑丸の没デザインが載せられています。

閑丸の没デザインで当時最も有名だったのは、P308つまり次ページに載っている、"そでから出ている植物が武器"という、

いかにも某幽遊〇書の蔵〇を連想させるものでしたが。

ここで取り上げるP307の、没デザインのポイントはこれです。






説明文には、「肩から下げている帯に、お経のようなものが書かれている。」とあります。

アップにしてみると……。







「南無妙法」までははっきりと見て取れますね。となれば続く言葉は「蓮華経」。

すなわち、ほぼ決定稿と変わらない緋雨閑丸没デザインの掛け帯に書かれていたのは、「南無妙法蓮華経」のお題目なのです。



日本仏教の中で、お題目は日蓮宗(または法華宗)で唱えられるもの。

推測するに、サムスピシリーズの主人公(斬紅郎無双剣の時点では、これまでの主人公)覇王丸が

"南無阿弥陀仏"のいわゆる念仏を彫られた「河豚毒」を愛刀としていた事への、対要素のようなものだったのではないでしょうか。


緋雨閑丸の設定では、彼は記憶をなくしてのちとある僧侶に拾われ育てられ、寺での用働きのかたわら剣術の研鑽に励んだ、となっています。

斬紅郎無双剣公式小説より)

僧侶は閑丸に彼の刀となる、大祓禍神閑丸(小説内では蕨手刀に似た小太刀となっています)を託して亡くなりました。

ひょっとしてこのお寺は日蓮宗(法華宗)だったのかもしれませんね。




余談ながら。

日蓮宗(法華宗)開祖・日蓮は晩年、檀越(だんおつ・僧侶に金品をほどこす信者)に贈られた"数珠丸"という日本刀を持ち、

「天下五剣」に数えられ、今の世にも伝わっています。

また妖刀として知られる村正を打った刀匠の村正(おそらく初代)も、日蓮の命日と「妙法蓮華経」が彫られた刀・妙法村正を打っており

日蓮宗の信者・または出家者であった可能性もあるそうです。